アーサー・ミラーⅠセールスマンの死 (ハヤカワ演劇文庫)本ダウンロード

アーサー・ミラーⅠセールスマンの死 (ハヤカワ演劇文庫)

, アーサー ミラー

によって アーサー ミラー
4.3 5つ星のうち 14 人の読者
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かつて敏腕セールスマンで鳴らしたウイリー・ローマンも、得意先が引退し、成績が上がらない。帰宅して妻から聞かされるのは、家のローンに保険、車の修理費。前途洋々だった息子も定職につかずこの先どうしたものか。夢に破れて、すべてに行き詰まった男が選んだ道とは……家族・仕事・老いなど現代人が直面する問題に斬新な手法で鋭く迫り、アメリカ演劇に新たな時代を確立、不動の地位を築いたピュリッツァー賞受賞作
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ふと、『セールスマンの死』ってどんな話なんだろう、と思った。昔からよく聞くタイトルだし、2度も映画化されている有名な戯曲なのだが、実はどんな話か全然知らない。今でも手軽に読めるのだろうか、とネットで調べてみたら、ちゃんと早川書房から文庫版が出ているではないか。いやあ、便利便利。行きつけの本屋にもあったので、迷わず購入した。200ページちょいで800円+税はいささか高い気もするけれど、まあいいか。主人公は、ちょっと落ち目のセールスマン、ウィリー・ローマン。彼には2人の息子がいて、長男のビフは高校時代フットボールの花形選手だった。おやじさんもそれを自慢にしていて、「こいつは将来必ず大物になる」と期待を寄せていたのだが…それも今は昔。30代になったビフは、定職にも就かず、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ…。などと書くと、まるでビフが主人公のようだが、あくまで主人公はウィリー。何といってもタイトルロールなのだから。とにかく暗い内容である。本書が初演されたのは1949年で、まだ戦勝国として浮かれムードでもいい時代なのに、何なんだこの陰気さは?とかえって不気味になるくらい。しかし一方で、こういう自分で自分のかさぶたを剥がして傷口をウジウジいじっちゃうようなことは、アメリカのお家芸でもあり、「ああまたやってる」という風にも思う。もちろんそれは今の視点からの感想であって、発表当時は、栄光の陰の死屍累々の挫折やアメリカの病巣を告発する、といったようなこの作品の態度は衝撃的だったのかもしれない。僕が何よりも一番驚いたのは、作者のアーサー・ミラーが、これを30歳そこそこで書き上げたことだ。と、ここで想像が飛躍するようだが、同じく死にゆく老人を主人公にした文学作品で、何となく『ベニスに死す』を思い出す。ドイツ人作家トーマス・マンは、あの名作を何歳で書いたのだろう?と調べてみたら、こちらもなんと30代!もちろん、両者はまったく性格の異なる作品だけれど、こと早熟さにおいて、僕はどちらにも脱帽せずにはいられない。ちなみにアーサー・ミラーは、2005年2月に89歳で亡くなっている。

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